金融機関との対話を深め 「会計で会社を強くする」には ~ローカルベンチマークの戦略的活用法~

税務豆知識

第九回 いわゆる「年収の壁」の改正について

今回は、令和7年12月1日から改正予定の所得税についてです。

前年から取りざたされている、いわゆる「年収の壁」について掘り下げていきます。

*前提として給与収入のみがある方が対象の説明です。不動産収入や年金収入がある方は、その所得についても合算しての計算となるため、詳細が 気になる方は弊所までご連絡ください。

今回の改正点は①基礎控除の見直し、②給与所得控除の見直し、③特定親族特別控除の創設です。

①基礎控除(納税者本人の控除)については、改正前の48万円から58万円~95万円(年収により変動)と改正される予定です。これにより年末調整で減税される対象の方が増える見込みです。

②給与所得控除、改正前の55万円から65万円に改正される予定です。(給与収入年間190万円以下の方が対象です。)

③19歳から以上23歳未満の親族年収123万円超~188万円以下)の扶養親族がいる場合に最大63万円の控除を段階的に受けられる制度です。

細かい数字についてはトップページのバナーからTKCへのリンクを張っております。

今回、所得税は減税の対象となっていますが、社会保険料の加入要件となる「130万円の壁」、住民税がかかる「110万円の壁」については今までと変更ないため、加入対象となる場合があります。配偶者の方の年収や税額の概算計算を行い税金がかかっても世帯収入が増えるならば、働く時間を増やすことを検討して見ましょう。

第八回 消費税のインボイス制度

今回は、令和5101日から始まったインボイス制度についてです。

インボイス制度の施行から18か月が経過しました。

現状は、免税事業者との取引に係る消費税額のうち20%の控除が認められないのですが、令和810月からは50%の控除が認められないことになり、納税者の負担が増えることになります。

継続的な取引先に免税事業者の方がいる場合は、その取引に対する消費税額の50%が控除されなくなるため消費税の納付額が増えることとなります。

増加する納付額を把握し経営にどれだけの負担が生じるか改めて検討していきましょう。

控除割合改定までには、まだ14か月ありますが、方針の決定等早めの対応を行うようにしていきましょう。

第七回 役員報酬の税務上の注意

今回は役員報酬の損金算入について改めて解説いたします。

役員報酬の改定は通常、事業年度開始後3ヶ月以内の改定し改定後の支給時期における支給額が同額であれば、定期同額給与とみなされ損金算入が認められますが、期首に遡及しての改定や期中の特別な事情の無い期中改定は損金算入が認められません。

事前確定届出給与は、支給時期・支給額があらかじめ定めて税務署への届出を提出する事で支給することができます。注意点は届出通りの支給を行う必要がありますので支給時期・支給額に相違があると全額が損金不算入となってしまいます。定時総会等の決議から1カ月以内」、「期首から4カ月を経過する日」のいずれか早い日が届出期限になります。

支給額決定に際して、法人の経営状況・キャッシュフローにも関わってくるため事前のご相談をいただき必要な届出を洩れなく行いましょう。


第六回 ふるさと納税について②

 第三回でご案内した、ふるさと納税について確定申告が不要な特例適用ができるようになりまし。条件がありますので今回はそのポイントを押さえていきます。

1.寄附を行った年の所得について確定申告をする必要がない方。

2.1年間のふるさと納税先自治体が5つまでの方。(自治体が5つまでならば6回以上の寄附をされても特例対象となります。)

上記2点が条件となっております。

実際の手続きについては、ふるさと納税の寄附先へ「ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」と「マイナンバー提供に必要な本人確認書類(番号確認と身元(実在)確認の書類)」を寄付先の自治体に郵送します。寄付者側の手続きは以上になります。申請締め切りは1月10日に必着であることとなっています。期日に間に合うよう手続きを行ってください。

一般的な給与所得者の方等が、便利に活用できる制度となっています。

地域創生に貢献しつつ、節税を行っていける制度になっております。

この機会に制度の活用をお考えになってはいかかでしょうか?


第五回 退職金について

退職所得は、退職手当、一時恩給、その他の退職により一時に受ける給与等の性質を有する給与に係る所得を言います。

退職所得の金額は次のように計算されます。
①.特定役員退職手当等の場合
 収入金額-退職所得控除額

②.①以外の一般退職手当等の場合
 (収入金額-退職所得控除額)×1/2

特定役員退職手当等とは
役員等次に掲げる者としての役員など勤続年数が5年以下である者が、その役員等勤続年数に対応する役職手当等として支払いを受けるものをいいます。

  1. 法人税法に規定する役員
  2. 国会議員および地方公共団体の議会の議員
  3. 国家公務員および地方公務員

退職所得控除額は、次のように計算されます。
①.勤続年数が20年以下の場合
 40万×勤続年数
②.勤続年数が20年を超える場合
 800万+70万×(勤続年数-20年)

勤続年数は、退職の日まで引き続き勤務した期間により計算します。
特定役員退職手当等と一般退職手当等の両方がある場合で、これらに係る勤続年数が重複しない場合には、それぞれの退職所得の金額を計算して合計した金額となります。

特定役員等勤続年数と一般退職手当等に係る勤続年数が重複している場合には、調整計算を行う必要があります。

第四回 不動産の税金について

今回は不動産の税金についてお話ししたいと思います。

不動産に課せられる税の種類
不動産所得税(不動産の取得時。他にも印紙税、登録免許税)
相続税、贈与税(不動産の相続や贈与を受けた場合)
固定資産税・都市計画税(不動産の舗通)
所得税・住民税(不動産を譲渡した場合)

不動産所得税は贈与や購入時に、都道府県が一度だけ課税する地方税です。
相続で得た不動産については、不動産所得税は発生しません。
納税義務者は不動産所得者です。(個人法人を問わない)

不動産所得税の計算
土地・建物の税額=固定資産税評価額×4%

納税方法は取得後6ヵ月~一年半くらいの間に「納税通知書」を使用して金融機関で納付します。

第三回 ふるさと納税について

今回はふるさと納税についてお話します
ふるさと納税とは
自分の好きな自治体に寄付することで、住民税や所得税も安くなり特典として特産品や優待券がもらえるという今注目の制度です。

特徴としては、
自治体によって特産品がもらえる
好きな自治体を選べる(生まれ故郷でなくてもよい)
税金が控除される
寄付金の使い道を指定できる

などのメリットがあります。

私達は、日々各自治体へと納税をしていますがその税金がどのように使われているのかは把握できていないのが現状です。
ふるさと納税に関しては、自分が選んだ自治体に納税(寄付)し、使い道を指定できるということで、納税する側としては嬉しい限りです。

ふるさと納税をすることで地域の活性化や被災地への復興の手助けに取り組むのも良いのかもしれません。
寄付を行った際にもらう証明書などが、確定申告に必要となりますので大切に保管してください。

企業もふるさと納税が出来ます。
ふるさと納税(寄付金)は、特定寄付金に該当され全額損金算入することが可能となります。
損金処理できる額に限度はありません。
企業としてどこの地域にどのような使い道を指定したという、社会貢献のアピールも可能です。

ふるさと納税を上手に利用し、社会貢献・節税などに役に立てることができると良いですね。

第二回 相続税がかかるのはどんな場合

相続税は、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時清算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産を加算します)が基礎控除額を超える場合にその超える分(課税遺産総額)に対して、課税されます。この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

Q相続税がかかる財産!
相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭にみつもることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。なお、次に掲げる財産も相続税の対象となります。

(1)相続や遺贈によって取得したとみなされる財産 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金などが、これに相当します。

(2)被相続人から死亡前3年以内に贈与により取得した財産 相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合には、原則としてその財産の贈与された時の価額を相続財産の価額に加算します。

(3)相続時精算課税の適用を受ける贈与財産 被相続人から、生前、相続時清算課税の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与財産の価額(贈与時の価額)を相続財産の価額に加算します。


Q相続税がかからない財産!
相続税がかからない財産のうち主なものは次のとおりです。

①墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

②宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

③地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度にもとずいて支給される給付金を受ける権利

④相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

⑤相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

⑥個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすものなお、相続人いずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。

⑦相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄付したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産にするために支出したもの

第一回 消費税率アップ時の注意点

*現在は税法改正により税率が変更しています。

平成26年4月1日から消費税率が5%から8%に増税しますが準備は大丈夫でしょうか?

注意すべきポイントとしては以下のことが考えられます。
増税のため販売価格が上がることを得意先に説明し、理解を得ていますか?
顧客の納得感が得られるような価格表示ができていますか?
販売価格の検討はできていますか?
Webページ、商品カタログ、チラシ、メニュー、値札等の価格の変更の準備は済んでいますか?
レジには税率の変更機能はついていますか?
納税資金を確保する仕組みは作られましたか?
3月31日から4月1日をまたぐ取引(リース等)について、契約の内容を確認されましたか?
設備投資は済みましたか?

大まかには以上の点で注意が必要です。

(答)新消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用されます。
照会①は平成26年4月分の賃貸料であり、施行日以後である平成26年4月分の資産の貸付の対価として受領するものですから、4月末日における税率(8%)が適用されます。

照会②は、平成26年3月分の賃貸料であり、施行日前である平成26年3月分の資産の貸付けの対価として受領するものですから、支払期日を4月としている場合であっても、3月末日における税率(5%)が適用されます。